通信指令員による院外心停止検出率を向上させる新手法
Improving emergency call detection of Out-of-Hospital Cardiac Arrests in the Greater Paris area: Efficiency of a global system with a new method of detection
背景
通信指令員による院外心停止(OHCA)の検出はもっぱら呼吸に関する質問に基づくもので、主観的であることが指摘されてきた。フランスParis Fire BrigadeのDerkenneらは、通信指令員によるOHCA検出精度を向上させるためのHand On Belly法を開発し、2012年から2018年に記録された15日間×4の通話サンプルを用いた反復横断研究によりこれを評価した。
結論
検出可能なOHCAの検出率は、2012年から2018年で54%から93%に向上した。通信指令員の指示による心肺蘇生実施率も51%から84%に向上した。応答時間や一次救命チームの派遣までに要した時間は、いずれもAHAガイドラインの推奨を満たしたが、OHCA認識から心肺蘇生開始までの時間は長くなった。
評価
「正常な呼吸」に関する質問は主観に依存しており、とくに死戦期呼吸を見逃す可能性が指摘されている。HoB法は、患者の腹部に置いた手が上下する間隔から、指令員が正常でない呼吸を判断するもので、パリ救急での本研究は、検出精度の大きな改善を実証した。