医療過誤の訴えは救急医の実践に影響を与えるか?
Emergency Physician Practice Changes After Being Named in a Malpractice Claim

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Annals of Emergency Medicine
年月
February 2020
75
開始ページ
221

背景

訴訟への怖れは「防衛医療」を生み出す原因とされるが、医療過誤で訴えられた医師で実践は変化するのか?Allegheny Health NetworkのCarlsonらは、医療過誤の訴えを受けた救急医と同じ職場で働く対照救急医の実践の変化を、差分の差分法により比較する後向研究を実施した。

結論

1件以上の医療過誤訴訟を受けた救急医65名と、マッチングされた対照医140名を比較した。訴訟提起後、治療の強度、スピードに有意な変化は見られなかったが、訴訟を受けた救急医では患者満足度が即時、かつ持続的に上昇した(Press-Ganey社の満足度パーセンタイルで6.52の改善)。また患者満足度の改善は、診断エラーを理由とした訴訟を受けた医師で特に大きかった(10.52)。

評価

訴訟により医療が防衛的になることが懸念されているが、本研究では、患者満足度の上昇を除いて治療実践の変化は見られなかった。ちなみに、本研究に含まれた訴訟のほとんどは取り下げまたは和解となっている。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)