不定愁訴の高齢患者でトロポニン検査は必要か?
Troponin Testing and Coronary Syndrome in Geriatric Patients With Nonspecific Complaints: Are We Overtesting?
背景
不定愁訴を持つ高齢患者では、急性冠症候群(ACS)の評価のためトロポニン検査が行われる場合があるが有用なのか。Indiana University School of MedicineのWangらは、65歳以上の救急不定愁訴患者(発熱およびfocalな主訴を持つ患者は除外)で、ACS率およびトロポニン検査の診断能を後向調査した。
結論
不定愁訴患者594名のうち、412名でトロポニン検査がオーダーされ本研究に含まれた。トロポニン値上昇は20%でみられ、30日以内のACSは1.2%で発生した。トロポニンの感度は100%、特異度は81%であった。トロポニン上昇患者のうちACSでなかった患者の割合(偽陽性)は93.8%であった。またトロポニン上昇患者全員が入院したものの、アンギオグラフィは1件のみ、再灌流療法は1件も行われなかった。
評価
不定愁訴高齢者の診療は難題で、atypicalなACSを考慮してトロポニンがオーダーされることもあるが、本研究ではACSは稀であり、ルーチンな検査は不要と考えられる。