保守的目標値での酸素療法、敗血症患者ではアウトカム悪化か?:ICU-ROX試験の二次解析
Conservative oxygen therapy for mechanically ventilated adults with sepsis: a post hoc analysis of data from the intensive care unit randomized trial comparing two approaches to oxygen therapy (ICU-ROX)

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Intensive Care Medicine
年月
January 2020
46
開始ページ
17

背景

昨年発表されたICU-ROX試験は、人工呼吸を要するICU成人患者(n=1,000)を、SpO2が97%に達するとアラームが鳴る保守的酸素療法群または上限を設けない通常酸素療法群に割り付けるランダム化比較試験であったが、両群で人工呼吸器不要日数や死亡率に差がないという結果となった。ニュージーランドMedical Research Institute of New ZealandのYoungらは、同試験の敗血症患者(n=251)での事後解析を行った。

結論

SpO2が97%を超えた期間は保守的酸素群で少なく(23.5時間 vs. 47時間)、ルームエアー期間は保守的酸素群で有意に多かった(20.5時間 vs. 0時間)。90日死亡率は、保守的酸素群36.2%、通常酸素群29.2%と非有意ながら保守的酸素群で高い傾向があった。二次アウトカムについても有意な群間差はなかったものの、治療効果の点推定はいずれも通常酸素療法の優位を示した。

評価

統計的パワーは不足していたものの7%の死亡率差があった。同試験のサブグループ解析では、虚血性脳損傷患者で保守的酸素目標値の有意な効果が認められている(http://doi.org/10.1056/NEJMoa1903297)。ICU患者の中でも保守的酸素が有益・有害なサブグループが存在するものと考えられ、さらなる検証が必要となる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)