搬送時間が20分を超える出血患者では病院前血漿が有効:COMBAT試験・PAMPer試験の事後解析
Association of Prehospital Plasma Transfusion With Survival in Trauma Patients With Hemorrhagic Shock When Transport Times Are Longer Than 20 Minutes: A Post Hoc Analysis of the PAMPer and COMBAT Clinical Trials
背景
2018年に公表されたPAMPer試験とCOMBAT試験はともに外傷性出血患者に対する病院前血漿輸血の効果を検証したランダム化比較試験であったが、10%の死亡率低下を示したPAMPer試験とは対照的にCOMBAT試験は無益中止となった。US Army Institute of Surgical ResearchのPusateriらは、病院前の搬送時間が血漿輸血の有効性に影響するという仮説を検証するため、両試験のデータを用いた事後解析を実施した(N=626)。
結論
Cox回帰分析は血漿輸血の生存ベネフィットを示した(ハザード比0.65)。対照群の患者では、搬送時間が20分を超えると死亡率の増加がみられたが(ハザード比2.12)、血漿群の患者では死亡率の増加はみられなかった(0.78)。
評価
ヘリ搬送での検証を行ったPAMPer試験でのみベネフィットが示されたことから、両試験の差異は当初から搬送時間という変数によって説明可能とみられていた。本解析はこの説を裏書きし、長時間の搬送を要する外傷患者での病院前血漿投与を指示する。