肺塞栓除外診断、臨床確率によりd-Dimer閾値を調整しCT検査を削減
Diagnosis of Pulmonary Embolism with d-Dimer Adjusted to Clinical Probability

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
November 2019
381
開始ページ
2125

背景

肺塞栓症(PE)の除外診断では検査前の臨床確率とd-dimer値を組み合わせる方法が有用とされるが、臨床確率によってd-dimer閾値を変更することで診断効率を向上させられるか。カナダMcMaster UniversityのKearonらは、臨床的検査前確率が中程度の患者(Wellsスコア4.5-6)ではd-dimer値500 ng/mL未満でPE除外、低い患者(Wellsスコア4以下)では1000 ng/mL未満でPE除外する前向研究PEGeDを実施した(n=2,017)。

結論

登録患者の7.4%が、初期診断検査でPEを有した。臨床的検査前確率が低・中でd-dimer陰性であった1,325名では、フォローアップ期間中の静脈血栓塞栓症は1名もなかった。初期PE診断を受けず抗凝固療法が行われなかった1,863名のうち、1名が静脈血栓塞栓症を有した。この戦略による胸部画像検査実施率は34.3%で、検査前確率により調整を行わなかった場合の51.9%より有意に低かった。

評価

Wellsスコアの3項目を用いたYEARSアルゴリズム(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(17)30885-1)があるが、Wellsフルスコアを用いたPEGeDのアルゴリズムではCT肺アンギオの実施率は1/3まで抑制された。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)