外傷性脳損傷患者でのトラネキサム酸は関連死を抑制する:CRASH-3試験
Effects of tranexamic acid on death, disability, vascular occlusive events and other morbidities in patients with acute traumatic brain injury (CRASH-3): a randomised, placebo-controlled trial
背景
重症外傷患者を対象としたランダム化比較試験CRASH-2の成功以降、トラネキサム酸は外傷性出血治療の不可欠な一部となっている。CRASH-3 trial collaboratorsは、29ヵ国175施設の、GCSが12以下または頭蓋内出血のある受傷後3時間以内の外傷性脳損傷(TBI)患者に、トラネキサム酸またはプラセボを割り付けるランダム化比較試験を実施した(n=12,737)。
結論
受傷3時間以内に治療されたのは72.2%で、これらの患者における頭部外傷関連死亡率は、トラネキサム酸群18.5%、プラセボ群19.8%であった(リスク比0.94)。GCSが3または両側瞳孔反応消失の患者を除外した感度分析では、それぞれ12.5%、14.0%であった(0.89)。頭部外傷関連死亡率は、軽度から中等度の頭部外傷患者ではトラネキサム酸により低下したが(0.78)、重症頭部外傷群では変わらなかった(0.99)。血管梗塞イベント(0.98)、発作(1.09)は両群で同程度であった。
評価
孤発性TBIはCRASH-2からは除外されていたが、CRASH-3はトラネキサム酸がTBIにおいても安全で、特に重度でない患者において死亡リスクを低下させることを示した。