ICU人工呼吸患者での酸素療法、保守的目標値でもアウトカム変わらず:ICU-ROX試験
Conservative Oxygen Therapy during Mechanical Ventilation in the ICU

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
October 2019
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背景

ICU患者の人工呼吸においては高酸素を回避することが望ましいと考えられている。オーストラリア・ニュージーランドのICU-ROX Investigatorsは、人工呼吸を要するICU成人患者を、SpO2が97%に達するとアラームが鳴る保守的酸素群または上限を設けない通常酸素群に割り付けるランダム化比較試験ICU-ROXを実施した(n=1,000)。

結論

28日目までの人工呼吸不要日数は、保守的酸素群21.3日、通常酸素群22.1日で差はなかった。FiO2が0.21の投与期間は保守的酸素群で有意に多く(29時間 vs. 1時間)、SpO2が96%を超えた期間は保守的酸素群で少なかった(27時間 vs. 49時間)。180日死亡率も、保守的酸素群35.7%、通常酸素群34.5%と差はなかった。

評価

最近ではOxygen ICU試験が肯定的結果を示していたが(http://doi.org/10.1001/jama.2016.11993)、この試験では(低酸素脳症サブグループを除き)アウトカムに差はなかった。明確な差を引き出せなかった背景として、本試験の通常酸素群が既存のRCTほどリベラルではなかった可能性が挙げられている。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)