外傷による出血性ショック患者でのアルギニン・バソプレシン:AVERT Shock試験
Effect of Low-Dose Supplementation of Arginine Vasopressin on Need for Blood Product Transfusions in Patients With Trauma and Hemorrhagic Shock: A Randomized Clinical Trial
背景
外傷性失血では出血のコントロールと血液補充が介入の中心となる。University of PennsylvaniaのSimsらは、レベル1外傷センターの受傷後12時間で6単位以上の血液製剤を要した成人外傷患者に、ボーラス投与後毎分0.04単位のアルギニン・バソプレシン(AVP)またはプラセボを割り付けるランダム化比較試験AVERT Shockを実施した(n=101)。
結論
48時間時点での血液製剤必要量は、AVP群で有意に低かったが(1.4 L vs. 2.9 L)、晶質液(9.9 L vs. 11.0 L)と昇圧剤(400単位 vs. 1400単位)に有意差はなかった。死亡率・合併症率は同等であり、深部静脈血栓はAVP群で少なかった(11% vs. 34%)。
評価
外傷後の出血性ショックにおける神経内分泌系障害にはAVP欠乏が関与しているとされ、AVPを補充することで輸血量を抑制することができた。アウトカムへの影響はより大きな試験で検証される必要がある。