外傷による出血性ショック患者でのアルギニン・バソプレシン:AVERT Shock試験
Effect of Low-Dose Supplementation of Arginine Vasopressin on Need for Blood Product Transfusions in Patients With Trauma and Hemorrhagic Shock: A Randomized Clinical Trial

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
JAMA Surgery
年月
August 2019
Online first
開始ページ
Online first

背景

外傷性失血では出血のコントロールと血液補充が介入の中心となる。University of PennsylvaniaのSimsらは、レベル1外傷センターの受傷後12時間で6単位以上の血液製剤を要した成人外傷患者に、ボーラス投与後毎分0.04単位のアルギニン・バソプレシン(AVP)またはプラセボを割り付けるランダム化比較試験AVERT Shockを実施した(n=101)。

結論

48時間時点での血液製剤必要量は、AVP群で有意に低かったが(1.4 L vs. 2.9 L)、晶質液(9.9 L vs. 11.0 L)と昇圧剤(400単位 vs. 1400単位)に有意差はなかった。死亡率・合併症率は同等であり、深部静脈血栓はAVP群で少なかった(11% vs. 34%)。

評価

外傷後の出血性ショックにおける神経内分泌系障害にはAVP欠乏が関与しているとされ、AVPを補充することで輸血量を抑制することができた。アウトカムへの影響はより大きな試験で検証される必要がある。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)