Rampedポジション・頭側挙上による挿管は有用か？
Multicenter Comparison of Non‐supine versus Supine Positioning During Intubation in the Emergency Department: A National Emergency Airway Registry (NEAR) Study
背景
挿管の際ベッドの頭側を上げ半座位で挿管する手法は、特に肥満患者などで低酸素回避に有効と考えられてきたが、救急患者でルーチンに行う意義はあるか。アメリカUniversity of UtahのStoeckleinらは、National Emergency Airway Registry（NEAR）に参加する25病院で前向に収集された救急挿管患者での後向解析を実施し、通常の仰臥位とそれ以外の体位での挿管における初回挿管成功率および声門視野・挿管時有害事象を比較した（n=11,480）。
結論
仰臥位以外での挿管は5.8%で実施された。非仰臥位患者には肥満患者が多く（オッズ比2.2）、軌道困難予想患者が多かった（1.8）。初回挿管成功率（調整オッズ比1.1）と声門視野グレード1の割合（1.1）に群間差はなかったが、直接喉頭鏡でのグレード1視野の割合は、非仰臥位群で高かった（オッズ比1.27）。一方で有害事象の発生も非仰臥位群で高かった。
評価
ICUセッティングで行われたRCTでは、頭側ベッド挙上により初回挿管成功率はかえって低下したが（https://doi.org/10.1016/j.chest.2017.03.061）、救急挿管での頭部挙上の有用性や害に関しては決定的なエビデンスはない。また、救急隊による病院前挿管で傾斜体位が有効との報告もある。
