重症外傷患者での予防的下大静脈フィルター留置はアウトカム改善せず
A Multicenter Trial of Vena Cava Filters in Severely Injured Patients

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
July 2019
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背景

抗凝固療法が禁忌となる重症外傷患者では、下大静脈フィルターによる肺血栓塞栓症予防が行われることがあるが、エビデンスは一貫していない。オーストラリアRoyal Perth HospitalのHoらは、Injury Severity Scoreが15を超える重症外傷患者に、72時間以内の下大静脈フィルター留置またフィルター留置なしを割り付ける多施設ランダム化比較試験を実施した(n=240)。

結論

一次エンドポイント(症候性肺塞栓症または死亡)発生率は、下大静脈フィルター留置群13.9%、対照群14.4%と差はなかった(ハザード比0.99)。7日以内に予防的抗凝固療法を受けなかったサブグループでは、フィルター留置群の0/46名、対照群の5/34名が肺塞栓症を発症した。フィルター留置群の6名で捕捉された血栓がみつかった。

評価

最新のメタ解析ではフィルター留置は全死亡率に影響しないと結論されいている(http://doi.org/10.1016/j.jacc.2017.07.775)。本RCTでも一次アウトカムに差はなく、コストやリスクを考慮すれば、抗凝固療法の禁忌が長期におよばない患者でフィルター挿入をする必要性は低いと考えられる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)