人工呼吸ARDS患者での早期筋弛緩薬は無益:ROSE試験
Early Neuromuscular Blockade in the Acute Respiratory Distress Syndrome
背景
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)では、神経筋遮断薬により人工呼吸同期不全の軽減が期待され、過去1件のランダム化比較試験で死亡率の低下を示している。The National Heart, Lung, and Blood Instituteは、中等度・重症のARDS患者に対し、48時間のcisatracurium持続投与と深鎮静、またはルーチンな神経筋遮断薬使用を行わない通常ケアを割り付けるランダム化比較試験ROSEを実施した。
結論
二次中間解析の結果により、1,006名が登録された時点で試験は無益性のため中止された。対照群のうち神経筋遮断薬を受けたのは17.0%であった。90日時点で介入群の42.5%、対照群の42.8%が死亡した。介入群の患者は身体活動が低く、有害心イベントが多かった。
評価
10年前のACURASYS試験の肯定的結果(http://doi.org/10.1056/NEJMoa1005372)にもかかわらず、ARDSでの筋弛緩薬の使用には議論があった。本試験では短期・長期死亡率とも群間差はなく、中等度・重症のARDS患者すべてで筋弛緩を行う必要はないと考えられる。