急性心筋梗塞を予測する4つの症状:TRAPID-AMI研究からの解析
Symptoms Predictive of Acute Myocardial Infarction in the Troponin Era: Analysis From the TRAPID-AMI Study

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Critical Pathways in Cardiology
年月
March 2019
18
開始ページ
10

背景

TRAPID-AMIは、ヨーロッパ・アメリカ・オーストラリアの12施設で、高感度トロポニンTを用いた急性心筋梗塞(AMI)の1時間除外アルゴリズムを評価した研究である(n=1,282)。Henry Ford HospitalのMcCordらは、同研究データの解析から、最終AMI診断と関連する症状を特定した。

結論

右腕・肩への放散痛(オッズ比3.0)、胸部圧迫感(2.5)、運動による悪化(1.7)、左腕・肩への放散痛(1.7)がAMI診断の独立予測因子であった。全患者のうち、右腕・肩への放散痛は10%で、胸部圧迫感は70%、運動による悪化は30%、左腕・肩への放散痛は35%でみられた。症状の期間はAMIを予測しなかった。またAMIでないことを予測する症状はなかった。トロポニン値が高いAMIと関連する症状は、引っ張られるような胸痛、右胸痛、右腕・肩への放散痛であった。

評価

右肩への放散痛は左肩よりも稀であったものの、(一般的なイメージに反して)より高いAMI予測能を有した。またAMIの除外を可能にする症状はなく、診断の難しさを改めて浮き彫りにする。

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取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)