ICU患者でのデクスメデトミジン鎮静、死亡率の低下は示せず:SPICE III試験
Early Sedation with Dexmedetomidine in Critically III Patients
背景
デクスメデトミジンは、ICU患者における鎮静薬として検証が進んでいる。オーストラリアMonash UniversityのShehabiらは、ICUで人工呼吸を受ける重症成人患者において、単独または一次鎮静薬としてデクスメデトミジンまたは通常ケア(プロポフォール、ミダゾラム、他の鎮静薬)を割り付ける非盲検ランダム化比較試験SPICE IIIを実施した(n=4,000)。
結論
90日全原因死亡率はデクスメデトミジン群29.1%、通常ケア群29.1%と差はなかった。デクスメデトミジン群の患者は、規定の鎮静レベルを達成するため補助的にプロポフォール(64%)、ミダゾラム(3%)、その両方(7%)を受けた(通常ケア群ではそれぞれ60%・12%・20%)。デクスメデトミジン群では徐脈・低血圧が多かった。
評価
人工呼吸期間の短縮、昏睡・せん妄の予防、一部試験では死亡率の低下も示されてきたが、過去最大規模の検証となった本試験はネガティブ結果となった。ただしサブグループ解析においては、非高齢患者(63.7歳以下)で通常ケア、高齢患者ではデクスメデトミジンが優良な傾向が認められた。