ICU患者でのデクスメデトミジン鎮静、死亡率の低下は示せず:SPICE III試験
Early Sedation with Dexmedetomidine in Critically III Patients

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
May 2019
Online first
開始ページ
Online first

背景

デクスメデトミジンは、ICU患者における鎮静薬として検証が進んでいる。オーストラリアMonash UniversityのShehabiらは、ICUで人工呼吸を受ける重症成人患者において、単独または一次鎮静薬としてデクスメデトミジンまたは通常ケア(プロポフォール、ミダゾラム、他の鎮静薬)を割り付ける非盲検ランダム化比較試験SPICE IIIを実施した(n=4,000)。

結論

90日全原因死亡率はデクスメデトミジン群29.1%、通常ケア群29.1%と差はなかった。デクスメデトミジン群の患者は、規定の鎮静レベルを達成するため補助的にプロポフォール(64%)、ミダゾラム(3%)、その両方(7%)を受けた(通常ケア群ではそれぞれ60%・12%・20%)。デクスメデトミジン群では徐脈・低血圧が多かった。

評価

人工呼吸期間の短縮、昏睡・せん妄の予防、一部試験では死亡率の低下も示されてきたが、過去最大規模の検証となった本試験はネガティブ結果となった。ただしサブグループ解析においては、非高齢患者(63.7歳以下)で通常ケア、高齢患者ではデクスメデトミジンが優良な傾向が認められた。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)