外傷患者での大動脈内バルーン遮断は高死亡率と関連
Nationwide Analysis of Resuscitative Endovascular Balloon Occlusion of the Aorta in Civilian Trauma
背景
大動脈内バルーン遮断(REBOA)は、バルーンカテーテルを大動脈内に留置することで出血をコントロールする技法であるが、その利益と害についてはデータが不足している。University of ArizonaのJosephらは、American College of Surgeons Trauma Quality Improvement Programデータセット(2015〜2016年)による症例対照研究を実施、593,818名の成人外傷患者から420名の患者をマッチングしREBOA留置とアウトカムとの関連を検証した。
結論
4時間以内の輸血量、24時間以内の輸血量、入院日数、ICU滞在日数に有意差はなかった。死亡率はREBOA群で35.7%、非REBOA群で18.9%と、REBOA群で高かった。REBOA実施患者では急性腎障害発症が多く(10.7% vs. 3.2%)、下肢切断(3.6% vs. 0.7%)が多かった。
評価
REBOAは出血コントロールに有効とされる一方で、下肢虚血や臓器不全などの合併症も報告されてきた。本研究では合併症率・死亡率ともREBOA群で高かった。後向の症例対照研究であり決定的なエビデンスとみなすことはできないが、有効なセッティング・患者集団などが議論される必要がある。