妊婦での肺塞栓症除外アルゴリズムを検証:1/3でCTを回避可能
Pregnancy-Adapted YEARS Algorithm for Diagnosis of Suspected Pulmonary Embolism
背景
妊婦では肺血栓塞栓症(PE)のリスクが高まるが、CT画像検査を利用せずにPEを除外できる臨床意思決定ルールは妊婦において十分検証されていない。オランダLeiden University Medical Centerのvan der PolらはPE疑い妊娠女性での前向研究を行い、YEARSアルゴリズム(DVTの臨床的兆候、血痰、PEである可能性が高い)とD-dimerレベルを用いたPE除外診断により、安全に診断画像検査を回避可能かを検証した(n=510)。
結論
ベースラインで4.0%がPEと診断され、フォローアップ期間中に1名(0.21%)が膝窩深部静脈血栓症と診断された。YEARS項目が該当0でD-dimer <1000 ng/mLまたはYEARS項目1つ該当でD-dimer <500 ng/mLの基準により、39%がCT肺アンギオグラフィを回避した。アルゴリズムによるCTPA回避率は第1三半期で65%と最も高く、第3三半期で32%と最も低かった。
評価
臨床的な事前確率とD-dimer値を組み合わせるプロトコルにより、1/3のPE疑い妊婦でCTPAが回避可能であった。妊娠初期と後期では有効性に大きな差があり、D-dimerカットオフ値には最適化の余地がありそうである。


