ICU患者でのストレス潰瘍予防戦略は死亡を減らさない
Stress ulcer prophylaxis with proton pump inhibitors or histamin-2 receptor antagonists in adult intensive care patients: a systematic review with meta-analysis and trial sequential analysis
背景
ICU患者ではストレス潰瘍がしばしばみられ、プロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2受容体拮抗薬(H2RA)による予防戦略が採られるが、死亡率への影響は明確にされていない。デンマークCopenhagen University HospitalのBarbateskovicらは、PPI・H2RAの効果をプラセボまたは予防戦略非実施と比較したランダム化比較試験を対象とした、システマティックレビューとメタアナリシス、試験逐次解析を実施した。
結論
6,899名のICU患者を含む42件の試験が同定された。ストレス潰瘍予防が死亡率に与える影響は見出されなかった(相対リスク1.03)。一方で消化管出血発生率は低下した(0.60)。従来手法によるメタ解析では、臨床的に重大な消化管出血の減少が示されたが(0.63)、試験逐次解析では95%信頼区間が1をまたいだ。重篤有害事象・健康関連QOL・肺炎・心筋虚血・CD腸炎への影響は不確定であった。
評価
昨年、SUP-ICU試験が死亡率への影響を否定したところであるが(http://doi.org/10.1056/NEJMoa1714919)、この最新解析でもストレス潰瘍予防戦略のハードアウトカム効果は否定された。