TTM試験発表後の心停止後患者の体温管理:発熱増、死亡率も悪化傾向
Changes in Temperature Management of Cardiac Arrest Patients Following Publication of the Target Temperature Management Trial
背景
2013年に発表されたTarget Temperature Management試験は、院外心停止後患者の目標体温管理(TTM)では33℃と36℃でアウトカムが同等であることを示した。ニュージーランドWellington Regional HospitalのSalterらは、Australian and New Zealand Intensive Care Society Centre for Outcome and Resource Evaluation(ANZICS CORE)における2005〜2016年の院外心停止後患者16,252名での後向コホート研究から、TTM試験の前後で心停止後患者の目標体温管理がどのように変化したかを調査した。
結論
ICU入室24時間以内の最低体温は、TTM試験前の33.80±1.71℃から、試験発表後には34.70±1.39℃に上昇した。院内死亡率は2013年まで年1.3%の割合で低下したが、その後年0.6%の上昇傾向に転じた。発熱の発生率は試験前12.8%・試験後16.5%と、試験発表後に上昇した。
評価
目標体温を33℃から36℃に変更後、発熱が増加しアウトカムも悪化傾向となった単施設報告があったが(https://doi.org/10.1016/j.resuscitation.2017.01.016)、オーストラリア・ニュージーランドの国家規模コホートでも同様の結果がみられた。TTM試験の実臨床への翻訳可能性に懸念を抱かせる。