緊急挿管時の筋弛緩薬、スキサメトニウムとロクロニウムで差はない
Emergency Department Intubation Success With Succinylcholine Versus Rocuronium: A National Emergency Airway Registry Study
背景
迅速導入気管挿管(Rapid Sequence Intubation)で用いられる筋弛緩薬としてスキサメトニウムとロクロニウムがあるが、いずれが優れるかについては十分なデータがない。San Antonio Uniformed Services Health Education ConsortiumのAprilらは、アメリカNational Emergency Airway Registryから22施設の救急部で行われた全ての挿管のデータを入手、スキサメトニウム投与患者とロクロニウム投与患者の初回挿管成功率その他のアウトカムを比較した。
結論
スキサメトニウムを用いて2,275件、ロクロニウムを用いて1,800件のRSIが行われた。初回挿管成功率はスキサメトニウム患者で87.0%、ロクロニウム患者では87.5%であった。有害事象発生率はそれぞれ14.7%・14.8%であった。
評価
コクランレビューはスキサメトニウムがよりよい挿管状態を作り出すとしたが(http://doi.org/10.1002/14651858.CD002788.pub3)、救急セッティングでの最初の大規模調査となった本研究では臨床的な差は見出されなかった。両剤とも安全に使用可能である。