成人のDV・虐待被害をスクリーニングする
Screening for Intimate Partner Violence, Elder Abuse, and Abuse of Vulnerable Adults: Evidence Report and Systematic Review for the US Preventive Services Task Force
背景
アメリカ予防医療作業部会(USPSTF)は妊娠可能年齢女性でのパートナー暴力(IPV)スクリーニングを推奨しているが、高齢者や社会的弱者の虐待に関するエビデンスは不足している。University of North CarolinaのFeltnerらは、USPSTF勧告の更新のために、IPV・高齢者虐待・社会的弱者虐待の徴候がない成人におけるスクリーニングがもたらす利益と害を評価するため、既存研究のシステマティックレビューを実施した。
結論
30件の研究が含まれた(N=14,959)。IPVスクリーニングの有無を比較したランダム化比較試験は3件で(n=3,759)、IPVまたはQOLの改善は示されなかったが、スクリーニングによる害は報告されなかった。過去1年以内のIPVまたは現在の虐待を発見するためのスクリーニングツールを評価した9件の研究では、感度は46〜94%、特異度は38〜95%であった。IPVが発見された女性への介入を評価したRCTは11件で(n=6,740)、自宅訪問や行動カウンセリングにより妊婦でのIPVを有意に減少させた。高齢者/社会的弱者の虐待に関して、スクリーニング・介入を評価した研究はなかった。
評価
スクリーニングはIPV被害者を特定可能であったが、IPVスクリーニング自体で何らかのベネフィットがあるわけではなく、IPV発見後の効果的な介入が重要とみられる。改訂後もスクリーニングの推奨度はBであった(http://doi.org/10.1001/jama.2018.14741)。