プロバイオティクスは小児の急性胃腸炎に効果なし:2件のランダム化比較試験から
Lactobacillus rhamnosus GG versus Placebo for Acute Gastroenteritis in Children

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
November 2018
379
開始ページ
2002

背景

腹痛や下痢などを伴う小児の急性胃腸炎に対しては、プロバイオティクス(乳酸菌製剤)が一般的に用いられるが、有効性に関するデータは限られる。Washington UniversityのSchnadowerらは、アメリカ10施設の小児救急を受診した3ヶ月から4歳の急性胃腸炎小児を対象に、一日2回のラクトバチルス・ラムノサスGGまたはプラセボを投与するランダム化比較試験を実施した(n=971)。

結論

14日以内の中等度・重度の胃腸炎(修正Vesikariスケールが9以上)は、ラクトバチルス群11.8%・プラセボ群12.6%と差はなかった(相対リスク0.96)。下痢の期間はそれぞれ中央値49.7時間・50.9時間で、嘔吐期間は両群とも中央値0時間、託児欠席期間は両群とも中央値2日、家族内感染率はそれぞれ10.6%・14.1%と、いずれも有意差はなかった。

評価

コクランレビューはプロバイオティクスが下痢の期間を減少させる可能性を示唆していたが(https://doi.org/10.1002/14651858.CD003048.pub3)、本試験および併載されたPROGUT試験(http://doi.org/10.1056/NEJMoa1802597)、2件の大規模RCTではアウトカム差は認められず、実践への再考が必要と思われる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)