重症ARDSに早期ECMOは有効:BayesianアプローチによるEOLIA試験の再評価
Extracorporeal Membrane Oxygenation for Severe Acute Respiratory Distress Syndrome and Posterior Probability of Mortality Benefit in a Post Hoc Bayesian Analysis of a Randomized Clinical Trial
背景
EOLIA試験は、重症急性呼吸窮迫症候群(ARDS)患者に対して即時のVV ECMO(体外式膜型人工肺)または従来治療を割り付ける多国籍ランダム化試験であり(n=249)、さきに早期ECMOでの60日死亡率の低下はみられないと結論したが、試験が中途終了したことやクロスオーバー率の高さ、非有意ながら早期ECMO群で11%死亡率が低かったことなどから、その解釈をめぐりと議論を呼んだ。カナダUniversity of TorontoのGoligherらは、同試験についてのBayesian(ベイズ流)解析を行い、早期ECMOが患者死亡の減少と関連する事後確率を推定した。
結論
事前分布についての情報が最小限の場合、早期ECMOが有益な可能性(相対リスクが1未満である確率)は96%であり、絶対リスク減少が2%以上である確率は92%であった。一方で、試験デザインが想定した相対リスクが0.67を下回る可能性は18%、絶対リスク減少が20%以上である確率は2%であった。適度に熱狂的な事前分布では相対リスクが1を下回る確率は99%、過度に懐疑的な事前分布では88%、先行研究に基づく事前分布では99%であった。
評価
付随論説(http://doi.org/10.1001/jama.2018.16916)は、ベイズ流アプローチが通常の頻度主義統計とどのように異なりどのような利点をもつか簡潔に要約している。この事後解析によれば、早期ECMOは(大きな効果であるかは不明だが)何らかの死亡率低下効果を持つと考えられる。