高耐性リスクICUでのSOD・SDDによる血流感染予防戦略、利益示せず
Decontamination Strategies and Bloodstream Infections With Antibiotic-Resistant Microorganisms in Ventilated Patients: A Randomized Clinical Trial
背景
選択的口腔咽頭除菌(SOD)および選択的消化管除菌(SDD)は、腸管環境の乱れが引き起こす各種感染を予防するためグラム陰性桿菌や真菌の抑制を目指す手法であるが、その有効性および耐性菌発生リスクについては見解が分かれる。オランダUniversity Medical Center UtrechtのWittekampらは、抗菌薬耐性リスクが中/高のヨーロッパ13施設ICUを、クロルヘキシジン口腔洗浄・SOD(抗菌薬口腔内塗布)・SDD(抗菌薬消化管内投与)・標準治療に順次割り付けるクラスターランダム化クロスオーバー比較試験を実施した(n=8,665)。
結論
多剤耐性グラム陰性桿菌によるICU血流感染は、標準治療群2.1%・CHX群1.8%(調整リスク比1.13)・SOD群1.5%(0.89)・SDD群1.2%(0.70)であった。28日粗死亡率は31.9%・32.9%・32.4%・34.1%であった。
評価
オランダで提唱され同国を中心に行われている予防戦略で、すでに多くの研究があり感染抑制効果も報告されているが、抗菌薬耐性リスクの高い施設での本試験では血流感染発生率・死亡率とも標準ケアと差はなかった。


