急性呼吸不全の免疫不全患者への高流量鼻カニューラは無益: HIGH試験
Effect of High-Flow Nasal Oxygen vs Standard Oxygen on 28-Day Mortality in Immunocompromised Patients With Acute Respiratory Failure: The HIGH Randomized Clinical Trial
背景
急性低酸素性呼吸不全(AHRF)に対しても鼻カニューラを用いた高流量酸素療法の利用が広がっている。フランスHopital St-LouisのAzoulayらは、同国32施設のICUでAHRFを有する免疫不全患者(n=778)を、高流量鼻カニューラ(HFNC)酸素療法または通常酸素療法に割り付けるランダム化比較試験HIGHを実施した。
結論
28日死亡率は、HFNC群35.6%・通常ケア群36.1%と差はなかった。通常ケア群と比較して、HFNC酸素療法を受けた患者ではPao2:Fio2比が高く(150 vs. 119)、6時間後の呼吸数が少なかったものの(25回/分 vs. 26回/分)、ICU滞在日数、ICU感染、入院日数、快適性・呼吸困難スコアに有意差はなかった。
評価
FLORALI試験では一次アウトカムに差はなかったもののHFNC群での死亡率低下が示され(http://doi.org/10.1056/NEJMoa1503326)、HFNCの利用は拡大した。対照的に、免疫不全患者を対象とした本試験ではベネフィットは示されなかった。AHRF患者の中でもHFNCが有効な集団は一部に限られるものと思われる。