ICUせん妄の治療に抗精神病薬は無効:MIND-USA試験
Haloperidol and Ziprasidone for Treatment of Delirium in Critical Illness
背景
せん妄への薬剤に関するエビデンスは決定打がなく、ハロペリドールのほか複数の非定型抗精神病薬も候補として上がっている。University of Pittsburgh のGirardらは、急性呼吸不全/ショック患者(n=1,183)のうち過活動型/低活動型せん妄を発症した患者に対し、ハロペリドール(最大20 mg/d)・ziprasidone(最大40 mg/d)・プラセボを割り付ける二重盲検ランダム化比較試験MIND-USAを実施した。
結論
48%の患者(n=566)でせん妄を発症、うち89%が低活動型せん妄であった。せん妄/昏睡なき生存日数は、ハロペリドール群7.9日・ziprasidone群8.7日・プラセボ群8.5日であり、ハロペリドールまたはziprasidoneの使用はプラセボと比して有効ではなかった(オッズ比0.88)。死亡率・人工呼吸不要日数・退院日数などにも差はなかった。
評価
ハロペリドールは過去数十年間せん妄患者に対して用いられてきたが、先行の小規模RCTに続き(http://doi.org/10.1097/CCM.0b013e3181c58715、http://doi.org/10.1016/S2213-2600(13)70166-8)、実践への再考を促す無効結果となった。