中・高リスク心臓手術患者でも制限的輸血戦略でよい:TRICS III試験の6ヶ月結果
Six-Month Outcomes after Restrictive or Liberal Transfusion for Cardiac Surgery
背景
TRICS III試験は、心臓手術を受ける中等度リスク以上の成人患者において、制限的赤血球輸血戦略(7.5 g/dL以下)またはリベラル輸血戦略(ICU患者では9.5 g/dL以下、病棟患者では8.5 g/dL以下)を比較する多国籍ランダム化非劣性試験であり(n=5,243)、28日以内の臨床的アウトカムについて制限輸血戦略の非劣性を示した。カナダSt. Michael’s HospitalのMazerらは、6ヶ月までの一次アウトカム(全原因死亡・心筋梗塞・脳卒中・透析を要する新規発症腎不全)を報告した。
結論
6ヶ月時点での一次複合アウトカムは、制限輸血群の17.4%、リベラル輸血群の17.1%で発生した。死亡率はそれぞれ6.2%・6.4%であった。二次アウトカムにも有意な群間差はなかった。
評価
長期的にはアウトカム差が生じるとする研究もあったが、この大規模試験では6ヶ月時点でも制限輸血戦略の非劣性性が示され、新たな標準とみなされる。また75歳以上の患者については、制限輸血戦略で一次エンドポイントが減少しており、さらなる調査に値する。