単純性急性虫垂炎での抗菌薬療法:APPAC試験の5年追跡結果
Five-Year Follow-up of Antibiotic Therapy for Uncomplicated Acute Appendicitis in the APPAC Randomized Clinical Trial
背景
APPAC試験は、CTにより単純性と確認された急性虫垂炎患者(n=530)を虫垂切除術と抗菌薬治療(3日間のertapenem静注後、1週間の経口レボフロキサシン・メトロニダゾール)に割り付けるランダム化比較試験であり、抗菌薬群のうち1年以内に虫垂切除を要したのは1/4であることを示した。フィンランドTurku University HospitalのSalminenらは、5年間のフォローアップ後、同試験の抗菌薬群患者(n=257)における晩期再発率を発表した。
結論
最初の1年に虫垂切除を受けたのは27.3%、残りの186名のうちさらに16.1%が1〜5年後に虫垂切除を受けた。5年目までの累積再発率は39.1%であった。5年目までの合併症率は初回切除群で24.4%、抗菌薬群で6.5%と切除群で高かった。病院滞在日数に群間差はなかったが、病気休暇は切除群で11日長かった。
評価
1年結果(http://doi.org/10.1001/jama.2015.6154)の発表時に懸案とされた長期的な再発率であるが、5年のフォローアップで累積再発率は4割ほどであった。抗菌薬療法による重大な合併症がなかったことと併せて、保存的治療は十分に合理的なオプションと言えよう。