出血性ショックリスクのある外傷患者で病院前血漿輸血が有効:PAMPer試験
Prehospital Plasma during Air Medical Transport in Trauma Patients at Risk for Hemorrhagic Shock

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
July 2018
379
開始ページ
315

背景

外傷患者での早期の凝固障害などの予防を目的としたdamage control resuscitationの考え方が広く受け入れられているが、病院到着前での有効性は十分検討されていない。University of PittsburghのSperryらは、出血性ショックのリスクを有する航空搬送中の外傷患者で、通常蘇生とそれに対する解凍血漿輸血の追加を比較する第III相・多施設・クラスターランダム化試験PAMPerを実施した(n=501)。

結論

30日死亡率は、血漿輸血群23.2%・通常ケア群33.0%と血漿輸血群で有意に低下した。治療効果は9つの事前指定サブグループのすべてで観測された。プロトロンビン時間比の中央値は血漿群で低かった(1.2 vs. 1.3)。多臓器不全・急性肺障害などに群間差はなかった。

評価

外傷性出血による死亡は搬送後早期に起こるため、病院前セッティングでの介入が重要とみられていたが、病院前での血漿輸血のベネフィットを大規模RCTで確認した。多くの施設では解凍FFPを医療ヘリに配備しておくことは困難とみられ、Editorialはいくつかの代替案を提示している。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)