死戦期呼吸のある心停止患者ではバイスタンダー心肺蘇生が行われにくい
Bystander-witnessed cardiac arrest is associated with reported agonal breathing and leads to less frequent bystander CPR
背景
心停止患者では死戦期呼吸と呼ばれる呼吸様式が現れる場合があるが、正常な呼吸との区別は難しい。ドイツUniversity Medicine GreifswaldのBrinkrolfらは、院外心停止のバイスタンダーに対する電話による半構造化インタビュー(n=101)により、患者の呼吸に対する知覚とバイスタンダー心肺蘇生の関連を検討した。
結論
患者が無呼吸であった例では82.6%(38/46)で心肺蘇生が開始されたが、死戦期呼吸が現れたとみられる例では54.3%(19/35)にとどまった。また、意識がない状態で発見された例では74.7%(47/63)で心肺蘇生が開始されたが、バイスタンダーにより意識消失が目撃された例では50%(19/38)にとどまった。
評価
日本では昨年、部活動中に生徒が心停止に至ったにもかかわらずAEDが使用されなかったケースから、死戦期呼吸の認識問題が注目を集めた。「呼吸がないか、あっても普段通りでない」場合には心肺蘇生が開始されるべきことが周知される必要がある。