重症代謝性アシドーシスに炭酸水素ナトリウムは有効か?:BICAR-ICU試験
Sodium bicarbonate therapy for patients with severe metabolic acidaemia in the intensive care unit (BICAR-ICU): a multicentre, open-label, randomised controlled, phase 3 trial

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
The Lancet
年月
June 2018
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背景

重症患者では代謝性アシドーシス(MAc)がしばしば発生し、予後不良と関連するが、MAcに対する炭酸水素ナトリウムの意義は十分明らかにされていない。フランスMontpellier University HospitalのJaberらは、同国26施設のICUにおいて、入室48時間以内の重症MAc患者での炭酸水素ナトリウムの有効性を評価する第III相ランダム化比較試験を実施した(n=389)。

結論

一次アウトカム(28日以内の全原因死亡と7日以内の臓器不全)は、炭酸水素ナトリウム群66%・対照群71%で生じた。28日生存率も両群で有意に異ならなかった(55%・46%)。AKINスコア2・3の患者層では、炭酸水素ナトリウム群の28日生存率が有意に高かった(63%・46%)。代謝性アルカローシス・抗ナトリウム血症・低カルシウム血症は炭酸水素ナトリウム群で多かった。

評価

炭酸水素ナトリウムはMAcに対し慣行的に適応とされてきたが、有効性を検証するRCTはこれまで存在しなかった。本試験では、全体のアウトカムは有意差を示すに至らなかったものの、急性腎障害を有する患者では有効とみられる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)