市民に大量出血止血法を講習する:PATTS試験
Effectiveness of Instructional Interventions for Hemorrhage Control Readiness for Laypersons in the Public Access and Tourniquet Training Study (PATTS): A Randomized Clinical Trial
背景
AEDや胸骨圧迫などの市民向け講習は、心停止生存率の上昇に寄与しているが、外傷性出血にたいして同様のアプローチが可能だろうか。Harvard Medical SchoolのGoralnickらは、NEペイトリオッツの本拠地ジレット・スタジアムのスタッフを、圧迫・パッキング・止血帯使用などを含む止血カリキュラムを受講するB-Con群、教育用オーディオキット、教育用フラッシュカード群、無介入の対照群に割り付けるランダム化試験PATTSを実施した(n=465)。
結論
シミュレーションシナリオにおける適切な止血帯使用は、B-Con群で88%と、対照群16%・フラッシュカード群19.6%・オーディオキット群23%より優れた。フラッシュカード群・オーディオキット群に割り付けられた参加者の大半は、実際には教材を利用しなかった。3-9ヶ月後の評価を行った参加者のうち、B-Con群の54.5%が正しく止血帯を使用できた。
評価
アメリカではボストンマラソン・テロ事件以降、止血帯を用いた止血教育の重要性がクローズアップされている。この研究では、アメリカ外科医師会によるカリキュラムが市民の止血スキル形成に高い有効性を持つことが示された。