発症時間不明な脳卒中でMRIガイドt-PA療法が有効:WAKE-UP試験
MRI-Guided Thrombolysis for Stroke with Unknown Time of Onset
背景
発症4.5時間以内の虚血性脳卒中は血栓溶解療法の適応となるが、発症時間が不明な患者も多い。ドイツUniversitatsklinikum Hamburg-EppendorfのThomallaらは、拡散強調画像(DWI)では認められるがFLAIR像では認められない虚血病変を有する発症時間不明脳卒中患者に、アルテプラーゼまたはプラセボの静注を割り付ける多施設ランダム化試験を実施した。
結論
資金提供の中止により試験は早期終了した(n=503)。90日時点での神経学的良好(修正Rankinスケール0/1)アウトカムは、アルテプラーゼ群53.3%・プラセボ群41.8%であった(調整オッズ比1.61)。修正Rankinスケールの中央値はアルテプラーゼ群で1、プラセボ群で2であった(1.62)。死亡は各群4.1%・1.2%、症候性頭蓋内出血は2.0%・0.4%であった(いずれも非有意)。
評価
一般にFLAIR像は超急性期の異常を捉えることが出来ないため、DWIとの不一致例は超急性期である可能性が高い(http://doi.org/10.1002/ana.21651)。MRIガイドによるt-PA療法の有効性が示されたことで、いわゆるwake-up脳卒中での治療適応は大きく拡大しうる。