重症ARDSで早期ECMOは有効か:EOLIA試験
Extracorporeal Membrane Oxygenation for Severe Acute Respiratory Distress Syndrome
背景
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)などに対する呼吸ECMO(体外式膜型人工肺)の導入が広がっているが、エビデンスは堅固ではない。フランスSorbonne UniversiteのCombesらは、3つの基準のいずれかを満たす重症ARDS患者を、直ちにVV ECMOを受けるECMO群と従来治療を続ける対照群に割り付ける多国籍ランダム化臨床試験EOLIAを実施した(n=249)。
結論
60日死亡率は、ECMO群35%・対照群46%であった(相対リスク0.76、非有意)。対照群の28%でECMO治療へのクロスオーバーがあり(平均6.5日後)、このうち57%が死亡した。輸血につながる出血イベント(46% vs. 28%)、重度の血小板減少症(27% vs. 16%)はECMO群で多く、虚血性脳卒中はECMO群で少なかった(0% vs. 5%)。
評価
無益性のために試験は中途終了したが、レスキューECMOによるクロスオーバーが多く、さらにECMO群で死亡率が低下する傾向が見られており、ECMOの無益性が示されたと解釈する向きは少ないと思われる。