頭部外傷小児の嘔吐はTBIを示唆するか?
Vomiting With Head Trauma and Risk of Traumatic Brain Injury

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Pediatrics
年月
April 2018
141
開始ページ
e20173123

背景

頭部外傷後の嘔吐エピソードは、外傷性脳損傷(TBI)など重要な傷害を示唆するが、単独でのTBIリスクはどの程度か。オーストラリアPrincess Margaret Hospital for ChildrenのBorlandらは、Australasian Paediatric Head Injury Rule Studyでの二次解析から、頭部外傷小児での嘔吐エピソードとその他の臨床意志決定ルール項目との関連、およびTBI有病率を検討した(n=19,920)。

結論

全体で17.0%が嘔吐エピソードを有し、うち72.2%は2歳以上であった。臨床的に重要なTBI(ciTBI)は172名でみられ、うち44.2%が嘔吐エピソードを有した。嘔吐以外にTBIを示唆する所見がなかった小児(15%)のうち、ciTBIは1名のみであった(0.3%)。嘔吐とともにciTBIを示唆する因子として、頭蓋骨骨折の徴候(オッズ比80.1)・意識障害(2.4)・頭痛(2.3)・行動異常(1.86)があった。

評価

小児頭部外傷における3つの臨床意志決定ルールを検証したAPHIRST研究(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(17)30555-X)のサブスタディである。嘔吐は、単独ではTBIを示唆する所見とは言えず、直ちにCTを実施する必要はないと考えられる。

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取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)