第三者の目がある問診・身体診察で何が見逃されるか
Do EPs change their clinical behaviour in the hallway or when a companion is present? A cross-sectional survey

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Emergency Medicine Journal
年月
February 2017
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開始ページ
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背景

廊下や待合室で、あるいは患者家族などの立ち会いの下では、正確な病歴聴取が阻害される可能性がある。Brigham and Women’s HospitalのStoklosaらは、American College of Emergency Physiciansの年次集会に参加した現役救急医を対象に、廊下や同伴者立会などプライベートでない空間での問診・診察が患者評価に影響を与えるかを調査した(n=409)。

結論

廊下での病歴聴取では78%の救急医が標準的な手順を逸脱し、同伴者立会の場合では84%が逸脱した。身体診察でも廊下で90%、同伴者立会で77%の逸脱が生じた。10年以上の経験を有する救急医では問診手順が変化しにくかった(オッズ比0.55)。廊下での問診を頻繁に行う救急医は誤診や診断の遅れを多く報告し(2.34)、特に泌尿生殖器系で一般的であった。問診の変化は、特に自殺念慮/自傷(25%)・DV(40%)・児童虐待(12%)・人身売買(8%)・薬物濫用(47%)・高齢者虐待(17%)の診断遅れ・誤診につながった。

評価

プライバシーのない診察は、救急過密がもたらす誤診・診断の遅れといった弊害を説明する因子かもしれない。自傷や虐待などが見逃されやすいという事実は、これらの患者にとっての救急部門の重要性に鑑みて特に問題であり、診察がいつでもプライバシーが確保された環境で行えるようにすることが肝心である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)