人工呼吸患者の横隔膜萎縮は不良予後と関連する
Mechanical Ventilation-induced Diaphragm Atrophy Strongly Impacts Clinical Outcomes
背景
人工呼吸患者における横隔膜機能の低下は、人工呼吸からの離脱を困難にし、臨床アウトカムにも影響を与えることが示唆されている。カナダUniversity of TorontoのGoligherらは、侵襲的人工呼吸管理を要する成人患者において超音波による横隔膜厚の測定を連日おこない、臨床アウトカムとの関連を検証した(n=211)。
結論
10%以上の横隔膜厚減少は41%の患者でみられ(中央値4日)、人工呼吸離脱の確率低下(調整ハザード比0.69)、ICU滞在日数の延長(1.71)、合併症リスク(3.00)と関連した。横隔膜厚増大は24%でみられ、人工呼吸期間の延長と関連した(1.38)。横隔膜厚の減少は吸気努力の異常減少と関連しており、横隔膜厚の増大は過度の吸気努力と関連した。最初の3日間でthickening fraction([吸気横隔膜厚−呼気横隔膜厚]/呼気横隔膜厚)が15-30%の患者では、換気期間が短かった。
評価
人工呼吸下での横隔膜機能不全は注目を集めているが、この研究は、人工呼吸誘発性の横隔膜厚の減少と増大がともに不良アウトカムと関連することを初めて明らかにした。「横隔膜保護的換気」という方向性も示唆される。