低リスク患者で肺塞栓を除外するPERCルールを検証:PROPER試験
Effect of the Pulmonary Embolism Rule-Out Criteria on Subsequent Thromboembolic Events Among Low-Risk Emergency Department Patients: The PROPER Randomized Clinical Trial
背景
救急における肺血栓塞栓症(PE)の診断戦略は十分確立されているものの、診断検査の過剰な利用や過剰診断にはなお懸念がある。フランスSorbonne UniversiteのFreundらは、PEリスクが非常に低い(<15%)救急患者で、8項目の臨床因子(Spo2・心拍・年齢・片側肢腫脹・喀血・外傷/手術歴・PE/VTE歴・ホルモン療法)からなるPERCルールのPE除外能を検証するクラスターランダム化試験PROPERを実施した(n=1,916)。
結論
初診時にPERC群の1.5%、対照群の2.7%がPEと診断され、3ヶ月のフォローアップ期間に、PERC群で新たに1名が診断された。CT肺アンギオフラフィの施行は、PERC群13%・対照群23%であった。PERC群では救急滞在時間が36分短縮され、入院率も3.3%低下した。
評価
これまでの検証結果は分かれているが(http://doi.org/10.1111/j.1538-7836.2008.02944.x、http://doi.org/10.1111/j.1538-7836.2010.04147.x)、低リスク集団で行われたこのRCTでは、PERCによる除外戦略は安全にリソース使用を減少させた。介入群と対照群の有病率の差は、従来の診断戦略において臨床的に重要でないPEが診断されていた可能性を示唆する。