トランスジェンダーの人々が救急受診をためらう理由
“Sometimes You Feel Like the Freak Show”: A Qualitative Assessment of Emergency Care Experiences Among Transgender and Gender-Nonconforming Patients
背景
トランスジェンダー/ジェンダーバリアント/インターセクシャルの人々は、医療へのアクセスにおいて、シスジェンダーとは異なる障壁を有する可能性がある。Yale Department of Emergency MedicineのSamuelsらは、過去5年以内に救急部門を受診した経験のあるトランスジェンダー成人を募集し(n=32)、フォーカスグループを通じ救急におけるトランスジェンダーの障壁・問題を特定した。
結論
44%が、緊急のケアを要する際にも救急受診を避けると報告した。救急受診の回避に影響を与えた因子は、差別されることへの怖れ、待ち時間の長さ、過去のネガティブな経験であった。医療者へのジェンダー教育、性アイデンティティに関するプライバシー保護、電子カルテにおけるジェンダー・性指向の正確な把握などが推奨事項として挙がった。
評価
救急受診で直面したさまざまな問題を、トランスジェンダー自身の視点から把握する重要なインタビュー研究である。併載論文によれば、救急医療従事者のトランスジェンダーに関する一般的知識は十分とは言えず(https://doi.org/10.1016/j.annemergmed.2017.09.042)、適切な教育機会は不可欠である。


