オーストラリアで起こった「雷雨ぜんそく」エピデミック
Stormy weather: a retrospective analysis of demand for emergency medical services during epidemic thunderstorm asthma
背景
喘息は様々な気象条件により誘発されるとされるが、雷雨ぜんそく(thunderstorm asthma)は雷雨などの気象条件下で広範囲で重症喘息が発症する現象である。オーストラリアAmbulance VictoriaのAndrewらは、2016年11月21日に同国ビクトリア州で発生した雷雨ぜんそくが救急医療サービスにもたらした影響を時系列分析で評価した。
結論
2016年11月21日の緊急通報は2,954件と平均より1,014件多く、特に午後6〜12時には、1,326件と想定の2.5倍の通報があった。計332名がEMSにより急性呼吸窮迫と判断された(平均は52件)。同日の雷雨ぜんそくは、取扱症例数の42%の増加、急性呼吸窮迫症候群の432%の増加と関連した。救急搬送は17%増、一般医からの緊急紹介も47%増加した。院外心停止の発生は82%増、病院前死亡は41%増加した。
評価
雷雨ぜんそく現象は、空気中の花粉が湿気を吸収し破裂することで生じると考えられており、80年代以降世界各地で報告されている。メルボルン州でのこのエピデミックは緊急通報の大幅な増加を引き起こし、少なくとも10名が死亡した。


