バンコマイシン・TAZ/PIPC併用は急性腎障害リスク:メタ解析
Vancomycin Plus Piperacillin-Tazobactam and Acute Kidney Injury in Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Critical Care Medicine
年月
January 2018
46
開始ページ
12

背景

バンコマイシン(VCM)投与患者でのピペラシリン/タゾバクタム(TAZ/PIPC)併用が、急性腎障害(AKI)発症を増加させるとする報告がある。University of Rhode IslandのLutherらは、系統的レビューとメタ解析により、VCM単独、VCMとセフェピム(CFPM)またはカルバペネム併用、VCMとTAZ/PIPC併用のAKIリスクを比較した。

結論

15件の論文と17件の学会発表が同定された(n=24,799)。全体の急性腎障害発生率は16.7%、うちVCM+TAZ/PIPC併用群が22.2%、それ以外では12.9%であった(NNH:11)。VCM・TAZ/PIPC併用によるAKIリスクは、VCM単独(オッズ比3.40)・VCM+CFPMまたはカルバペネム(2.68)・TAZ/PIPC単独(2.70)よりも高かった。重症患者(n=968)でのVCM・TAZ/PIPC併用は、VCM単独と比してAKIリスクを大きく高めたが(オッズ比9.62)、VCM+CFPMまたはカルバペネム・TAZ/PIPC単独とは有意差がなかった。

評価

メタ解析によりVCM・TAZ/PIPC併用のリスクが確定された。抗菌薬の選択に際して考慮される必要がある。小児患者でもこの併用が腎障害リスクを増すと報告されている(http://doi.org/10.1001/jamapediatrics.2017.3219)。

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取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)