oHCMへのメトプロロールの有用性を確認:TEMPO
Randomized Trial of Metoprolol in Patients With Obstructive Hypertrophic Cardiomyopathy

カテゴリー
循環器
ジャーナル名
Journal of the American College of Cardiology
年月
December 2021
78
開始ページ
2505

背景

JACCは、閉塞性肥大型心筋症(oHCM)治療に関する二つの臨床試験報告を併載している。デンマークAarhus UniversityのDybroら(TEMPO)は、NYHA分類II 以上の同患者29名を対象として、メトプロロールの効果を検証する第2相RCTを行った(対照:プラセボ)。効果パラメーターは、LVOT勾配・NYHA・CCS狭心症クラス・KCCQ-OSS・心肺運動テストである。

結論

メトプロロールのLVOT勾配低下を認めた(ピーク運動時・運動後とも)。NYHA III 以上の患者率も、メトプロロールで低下した(14% vs.38%)。CCS III 以上の患者はメトプロロール群では消滅した。KCCQ-OSS高値も認めた。運動能力・ピーク酸素消費量・NT-proBNP値に群間差はなかった。

評価

βブロッカーは確固としたRCTエビデンスが乏しいままoHCMへの第一選択薬とされてきており、見直しも必要である。このTEMPO試験は一定の有用性を再確認するものだが、FDAは正式承認のためには第3相試験を要求するものとみられる。なお、併載論文は、心筋ミオシン阻害薬mavacamtenの一定の効果を報告している(EXPLORER-HCM:https://www.jacc.org/doi/10.1016/j.jacc.2021.09.1381)。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)