oHCMへのメトプロロールの有用性を確認:TEMPO
Randomized Trial of Metoprolol in Patients With Obstructive Hypertrophic Cardiomyopathy
背景
JACCは、閉塞性肥大型心筋症(oHCM)治療に関する二つの臨床試験報告を併載している。デンマークAarhus UniversityのDybroら(TEMPO)は、NYHA分類II 以上の同患者29名を対象として、メトプロロールの効果を検証する第2相RCTを行った(対照:プラセボ)。効果パラメーターは、LVOT勾配・NYHA・CCS狭心症クラス・KCCQ-OSS・心肺運動テストである。
結論
メトプロロールのLVOT勾配低下を認めた(ピーク運動時・運動後とも)。NYHA III 以上の患者率も、メトプロロールで低下した(14% vs.38%)。CCS III 以上の患者はメトプロロール群では消滅した。KCCQ-OSS高値も認めた。運動能力・ピーク酸素消費量・NT-proBNP値に群間差はなかった。
評価
βブロッカーは確固としたRCTエビデンスが乏しいままoHCMへの第一選択薬とされてきており、見直しも必要である。このTEMPO試験は一定の有用性を再確認するものだが、FDAは正式承認のためには第3相試験を要求するものとみられる。なお、併載論文は、心筋ミオシン阻害薬mavacamtenの一定の効果を報告している(EXPLORER-HCM:https://www.jacc.org/doi/10.1016/j.jacc.2021.09.1381)。