Na/K摂取による心血管リスク変容を精密定量化
24-Hour Urinary Sodium and Potassium Excretion and Cardiovascular Risk
背景
ナトリウム(Na)カリウム(K)摂取量と心血管疾患との関連は、定量的に精密化されるべき段階に達している。Harvard T.H. Chan School of Public HealthのMaらは、一般健康成人を対象とした6つの前向コホートデータに基づき、参加者の2回以上の24時間尿検体を用いたNa/Ka摂取量と心疾患リスクの関連を評価した(n=10,709)。一次アウトカムは、心血管イベント(冠動脈血行再建・致命的/非致命的心筋梗塞・致命的/非致命的脳卒中)である。
結論
中央値8.8年の追跡で、一次アウトカムイベントが571件発生した。諸因子調整後、Na排泄量増加・Ka排泄量低下・Na/Ka比高値は、すべて一次アウトカムリスクを増した:最高/最低四分位群比較では、ハザード比はNa排泄量で1.60、Ka排泄量で0.69、Na/Ka比で1.62であった。Na排泄量の1日あたり1,000mg増は心血管リスクの18%増と関連し、Ka排泄量の1日あたり1,000 mg増は心疾患リスクの18%減と関連した。
評価
周知の関連を精密化した結果である。最近ではSSaSS試験が摂取塩の成分置換が高リスク者の心血管イベント低減に有効であることを示したが(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2105675)、リアルワールドで如何に、どの程度減塩やNa/K置換をすすめればよいかは難問である。