降圧目標水準はターゲットリスクによって異なる: ALLHAT後向解析
Contributions of Systolic and Diastolic Blood Pressures to Cardiovascular Outcomes in the ALLHAT Study
背景
高血圧の心血管(CV)アウトカムに対するインパクトは、ターゲットリスクで異なる可能性がある。Stanford UniversityのChangらは、ALLHAT研究データ(n=33,357)に基づき、この問題を後向解析した。1次複合アウトカムは、初発MI・脳卒中・うっ血性心不全(CHF)もしくは全死因死亡のランダム化からの期間である(観察期間中央値4.4年)。
結論
CVアウトカムによりSBPとDBPのリスクパターンは異なった。1次複合アウトカム・全死因死亡・MI・CHFではSBPとDBPに対し同様なU字型関連がみられ、脳卒中での関連性はSBPに対してのみリニアであった。
評価
ターゲットリスクに対する降圧目標は異なる、という出現中の治療概念を支持し、脳卒中防止の観点からは厳格なSBP管理を提起する所見である。本解析はヒートマップによる至適血圧の可視化が特徴であるが、併存疾患や内服歴といった因子を加味していない、母集団が高リスク集団であるといった問題点もあり、降圧目標値の改変には前向解析を含めた追加解析が必要である。