バルサルタンは早期肥大型心筋症の進行を抑制: VANISH
Valsartan in early-stage hypertrophic cardiomyopathy: a randomized phase 2 trial
背景
バルサルタンは肥大型心筋症（HCM）の疾患修飾薬になり得るか。Harvard Medical SchoolのHoら（VANISH）は、サルコメア関連遺伝子バリアントを有する早期HCM患者 178名を対象に、バルサルタンの有効性を評価する第2相多施設RCTを行った（対照: プラセボ）。一次エンドポイントは、2年時の各評価項目（左室心筋質量・左房容積・LVEDV・LVESV・最大左室壁厚・拡張期運動速度e'・収縮期運動速度s'・TnT・NT-proBNP）のベースラインからの変化の複合である。
結論
バルサルタンの1次エンドポイント効果を認めた（p=0.001）。NT-proBNP ・LVEDV ・e' において効果は有意で、有害事象に差はみられなかった。
評価
HCMへのARB効果には複数の試みがあり、INHERITは losartan 効果を否定したが軽症限定ではなかった（https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4374100/）。今回の試みはin vivoデータを基に早期HCMに限定して有効性を示唆したものである。リモデリングに対する長期有効性やサルコメア遺伝子バリアントを有さないHCMへの適応といった問題が残る。
