スタチンは心不全患者のがんリスクを下げる
Statin associated lower cancer risk and related mortality in patients with heart failure
背景
スタチンは発癌リスクを下げることが示唆されている。中国University of Hong KongのYiuらは、心不全患者 87,102名(スタチン服用: 36,176名, 非服用者: 50,926名)を対象に、同患者の発癌リスクにたいするスタチンの効果を検討する後向解析を行った。
結論
心不全患者に対するスタチンの発癌リスク低減効果を認めた(sHR: 0.84)。効果は使用期間に依存した([2〜4年間] sHR: 0.99, [4〜6年間] 0.82; [≧6年間] 0.78 vs. [3ヵ月〜2年間])。10年がん関連死亡率もスタチン群で低かった(3.8% vs. 5.2%, aSHR: 0.74)。
評価
アジア人心不全患者におけるスタチンの癌リスク低減効果を示す初めての報告である。スタチンの多面効果一般と同じく機序は不明であり、発癌機序論の意外な進展を促す可能性がある。