AD遺伝HCMを起因するALPK3truncatingバリアントを報告
Alpha-protein kinase 3 (ALPK3) truncating variants are a cause of autosomal dominant hypertrophic cardiomyopathy
背景
肥大型心筋症(HCM)には多くのリスク遺伝子バリアントが知られており、ALPK3遺伝子のtrunctatingバリアント(ALPK3tv)もその1つである可能性が報告されている。イギリスUniversity College LondonのLopesらは、HCM患者(discoveryコホート: 770名、validationコホート: 2,047名)よりALPK3tvを解析し、臨床的特徴・アウトカムを評価した。
結論
discoveryコホートにおいてALPK3tvのヘテロ接合体を1.56%(OR: 16.11[vs. gnomAD])に認め、validationコホートにおいてALPK3tvのヘテロ接合体を1.56%(OR: 16.17)に認めた。ジェノタイピングされたHCMコホート(n=1,679)のサルコメア遺伝子バリアント(SP)の保有/非保有有群と比べ、ALPKtv保有者では心尖部/心室中心部肥大(60%)・PR間隔短縮(10%)を認め、心不全もしくは心移植のアウトカムが不良であった(9%)。
評価
ALPK3tvによる常染色体顕性遺伝のHCMが同定され、従来のバリアントと表現型の異なる結果となった。人種によるホモ/接合体の頻度・浸透率の違いがあるとともに、その他のバリアントとの寄与度など不明な点も多く、さらなるGWASやpolygenic risk scoreといった解析も今後必要である。