HbA1cスタンダードはT2D患者の心血管・腎アウトカム制御には不十分
Cardiovascular and Kidney Outcomes Across the Glycemic Spectrum: Insights From the UK Biobank
背景
糖尿病治療のターゲットを血糖でなく心血管・腎リスクの低減とすべきとする見方が強まっている。Harvard Medical SchoolのHonigbergらは、UK Biobankに登録したの1型糖尿病・心血管疾患・腎臓疾患でない参加者336,709名のデータを基に、人口統計・生活習慣・心血管代謝リスク因子調整後における、高血糖曝露(2型糖尿病[T2D]・前糖尿病[pDM]・正常血糖)とアウトカム(動脈硬化性心血管疾患 [ASCVD]・慢性腎臓病 [CKD]・心不全)との関連を検討した。
結論
13.9%の参加者がpDM、 3.8%がT2Dであった。中央値11.1年の追跡期間中、pDM者の13.8%に1件以上のアウトカム発生があり、そのうちすでにT2Dと診断されていたのは12.4%だけだった。pDM・T2Dは、ASCVD(aHR:[pDM]1.11;[ T2D]1.44)・CKD(同1.08; 1.57)・心不全(同1.07; 1.25)と独立に関連した。HbA1c5.0%未満と比較して、ASCVDはHbA1c5.4%以上で、CKDはHbA1c6.2%以上で、心不全は7.0%以上で、リスクが有意に上昇した。
評価
定評のある遺伝子レベルビッグデータの解析で、HbA1cベースの糖尿病管理が不十分である、というエビデンスを提出した。JACC Editorialは、「治療慣性を克服」することを提唱している。


