GRK4の心筋梗塞重症化効果とそのメディエータ同定を報告
The role of G protein-coupled receptor kinase 4 in cardiomyocyte injury after myocardial infarction
背景
Gタンパク質共役型受容体キナーゼ(GRKs)の心筋機能制御での重要性は周知で、GRK4 は高血圧に重要な役割を果たしていることが知られている。中国Third Military Medical UniversityのLiangpeng Liらは、トランスジェニックマウスの心筋梗塞(MI)の発症・進行におけるその役割を解析した。
結論
ヒト野生型・A486VバリアントGRK4 を過剰発現させたトランスジェニックマウスでは心筋梗塞が増加し、心機能障害とリモデリングが進行した。他方、心筋細胞特異的GRK4ノックアウトマウスでは、このような現象は起こらなかった。心筋におけるGRK4過剰発現はアポトーシス悪化・オートファジー抑制・ベクリン-1発現低下を帰結し、オートファジーアゴニストラパマイシンによってこの効果は一部回復した。また、HDAC4のS632A変異は、GRK4によるオートファジー阻害を部分的に回復させた。さらに、GRK4 A486Vバリアント保有患者は、WTキャリアに比べMIによる心機能の低下が大きかった。
評価
重要な主題でレビューも多いが(https://www.mdpi.com/2073-4409/10/1/154)、GRK4のこの効果を同定し、HDAC4をメディエーターとした研究は初めてである。MIにおける新しい制御標的となりえる。