SGLT2阻害薬はなぜHFrEFを軽減するのか
Empagliflozin in Patients With Heart Failure, Reduced Ejection Fraction, and Volume Overload: EMPEROR-Reduced Trial

カテゴリー
循環器
ジャーナル名
Journal of the American College of Cardiology
年月
March 2021
77
開始ページ
1381

背景

SGLT2阻害薬の心不全治療効果がクラス効果であることが明かになってきているが、その作動機構は。Baylor UniversityのPackerらは、EMPEROR-Reduced Trialに参加したHFrEF患者3,730名のデータに基づき、エンパグリフロジンの抗心不全効果と体液量過剰との関連を検討した。

結論

エンパグリフロジンによる心血管死・心不全入院リスク低減効果は、試験前の体液貯留の程度と関わらなかった(相互作用のp>0.05)。体重・Hct・BNP値等SGLT2阻害薬の利尿作用指標の変化も、臨床効果発現と並行していなかった。

評価

著者らの結論は、「SGLT2阻害薬は利尿薬ではない」である。作用メカニズムの謎を深めるものだが、SGLT2阻害薬には利尿薬の併用が必要、という実践帰結も示唆している。

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取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)