COVID-19による心筋損傷は微小血栓症
Microthrombi As A Major Cause of Cardiac Injury in COVID-19: A Pathologic Study
背景
COVID-19における心筋損傷の機構は。イタリアOspedale Papa Giovanni XXIIIのPellegriniらは、同死亡患者40名の病理解析結果を報告している。
結論
35%の患者で、主に左室心筋細胞壊死を認めた。壊死例には、女性・CKD・急速進行患者が多かった。重度冠動脈疾患(75%以上狭窄)の存在と壊死の有無に関連はなかった。心筋細胞壊死例の21.4%に壊死面積>1cm2の典型的急性MI像があったが、78.6%では壊死はクラスター状であった。壊死例の78.6%に血栓形成を認め、14.2%に心外膜冠動脈血栓が存在したが、64.3%は心筋内部の毛細血管・小動脈内の微小血栓であった。微小血栓は、COVID-19陰性患者と比較してフィブリン・C5b-9末端補体複合体の免疫染色が有意に高かった。
評価
COVID-19での心筋損傷は冠血栓症・心筋炎・微小血栓の3機構が考えられるが、既存コンセンサスである微小血栓説が支持された。Circulationは、類似の結果を示したMayo研究を併載している(https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.120.050754)。